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小川 修一*; 吉越 章隆; 高桑 雄二*
Vacuum and Surface Science, 62(6), p.350 - 355, 2019/06
シリコン基板の熱酸化は、シリコンデバイスの作成に不可欠である。酸化膜が薄くなると酸化によって引き起こされる歪の影響が無視できなくなる。放射光リアルタイム光電子分光による酸化誘起歪と酸化速度の同時計測によって、酸化誘起歪の酸化反応に及ぼす効果を調べた。急激な酸化温度上昇による熱歪が、界面酸化速度を増加させることが明らかとなった。この結果は、歪発生に伴う点欠陥がSiO/Si基板界面の反応サイトとするモデルによって説明できる。
伊藤 裕人*; 塩津 弘之; 田中 洋一*; 西原 慧径*; 杉山 智之; 丸山 結
JAEA-Data/Code 2018-012, 42 Pages, 2018/10
原子力施設事故時において施設内を移行する核分裂生成物(FP)の化学組成は、比較的遅い反応の影響を受けることにより化学平衡を仮定して評価した組成とは異なる場合が想定される。そのため、反応速度を考慮した化学組成評価が求められる。一方で、原子力施設事故時の複雑な反応に関する反応速度の知見は現状では限られており、実機解析に適用できるデータベースの構築に至っていない。そこで、FP化学組成評価における反応速度による不確かさの低減のため、化学平衡論及び反応速度論の部分混合モデルに基づく化学組成評価コードCHEMKEqを開発した。このモデルは、系全体の質量保存則の下、前駆平衡と見なせる化学種を化学平衡論モデルにより評価し、その後の比較的遅い反応を反応速度論モデルにより解くものである。さらにCHEMKEqは、本混合モデルに加え一般的な化学平衡論モデル及び反応速度論モデルが使用可能であり、かつ、それらモデル計算に必要なデータベースを外部ファイル形式とすることで汎用性の高い化学組成評価コードとなっている。本報は、CHEMKEqコードの使用手引書であり、モデル, 解法, コードの構成とその計算例を記す。また付録には、CHEMKEqコードを使用する上で必要な情報をまとめる。
若井 栄一; 江沢 正志*; 今村 淳子*; 武中 剛志*; 田辺 哲朗*; 大嶋 隆一郎*
Journal of Nuclear Materials, 307-311(Part.1), p.367 - 373, 2002/12
被引用回数:29 パーセンタイル:84.85(Materials Science, Multidisciplinary)Ni合金の照射による微細組織変化に及ぼす溶質原子の効果を500Cで25keVのヘリウムイオン照射により調べた。用いた試料はNi及び溶質原子のサイズ因子が異なる数種類のNi合金(Ni-Si,Ni-Co,Ni-Cu,Mi-Mn,Ni-Pd,Ni-Nb)である。110ions/mまで照射すると約1.510mの高密度の転位ループが形成されたが、アンダーサイズ因子を持つNi-Si合金のみ、その密度がやや高くなった。また、410ions/mまで照射した試料では、キャビティが成長し、溶質原子のサイズ因子に依存してスエリングが0.2%から4.5%まで変化した。キャビティの数密度は溶質原子のサイズ因子の絶対値の大きさにしたがって増加する傾向にあり、スエリング値は増加した。これらの結果と反応速度論による点欠陥濃度の計算結果からヘリウム及び原子空孔の移動度し、溶質原子とヘリウム及び原子空孔との相互作用によって影響を受けることを推測した。
橋本 雅史; 和田 博之*; 大森 巍*; 吉原 賢二*
Radiochimica Acta, 63, p.173 - 177, 1993/00
ヘキサキス(チオウレア)テクネチウム(III)錯体との配位子置換反応により、代表的なポリアミノポリカルボン酸であるEDTAおよびHEDTAを配位子とした+3価のテクネチウム錯体を合成することができる。この配位子の置換反応に対する速度論および生成する錯体の組成という二つの視点から錯体の生成反応の機構を考察した。
橋本 昭司; 西村 浩一; 渡辺 博正; 川上 和市郎
公害と対策, 21(10), p.987 - 992, 1985/00
下水汚泥を緑農地に有効利用する場合における、病原菌汚染ならびに腐敗による悪臭や害虫の発生などの二次公害防止のため、電子線による脱水汚泥の殺菌と殺菌汚泥のコンポスト化に関する検討を行った。殺菌については、電子加速器による0.2Mradの低線量照射で、病原菌汚染の指標である大腸菌を検出限界以下にまで減少させることができること、また、コンポスト化については、微生物反応速度論的検討を行い、単一槽における発酵実験のデータから、多段槽での発酵速度の計算が可能であることを示した。さらに、照射-コンポスト化プロセスのスケールアップを行う場合における技術的問題点についても述べた。
岡田 漱平; 日馬 康雄; 伊藤 政幸; 八木 敏明; 吉川 正人; 吉田 健三
EIM-82-111, p.27 - 36, 1982/00
LOCA模擬の短時間試験が安全サイドに立っていることを示す外挿を可能ならしめるような劣化の数式化の方法論を調べるための一つの試みとして、PWR LOCAを模擬した放射線・蒸気・ケミカルスプレーの複合環境下での機械的特性値の変化を反応速度論的に解析した結果、(i)EPR,Hypalonの伸びP=e/eの劣化は-dP/dt=KPによって整理することができる。(ii)空気を含む場合と含まない場合とで減衰の次数nが異なり、別種の反応が支配的であることが示唆され、新しく提示するElongation-Strength Trajectoryという表示法によって考察すると、空気のない場合は架橋が、ある場合には切断が優勢であることが分る。(iii)EPRの場合、空気のない時はn~2、空気のある時はn~1であるということや、線量率効果、温度効果などは、空気のない場合は、P・+P・P-Pのような反応が優勢であり、空気のある場合はP・+OPOO・のような反応が律速となると考えれば説明がつく。等のことがらが明らかにされた。
作本 彰久; 宮田 定次郎
JAERI 1251, 40 Pages, 1977/09
従来亜硫酸水素塩がオレフィンにラジカル機構によって付加する反応は反応開始剤として酸化剤を必要とするため反応機構は殆んど明らかでなかった。本論文は、化学反応に放射線を有効にする観点から酸化剤の代わりにCOの線を用いて付加反応の一種の研究を行った結果を体系的にまとめたものであって、付加反応に対する放射線の特徴とともに反応の詳細、即ち付加反応に関与する化学種、反応の速度論的解析、水素同位体効果、停止機構の差異などを明らかにし、界面活性剤によって形成されるミセルの効果と放射線とのかかわり合について考慮した。
宮田 定次郎; 作本 彰久; 鷲野 正光; 阿部 俊彦
Chemistry Letters, 1995(2), p.181 - 184, 1975/02
放射線有機合成の研究の一環としてのスルホン化反応に関するものである。亜硫酸水素のトリウムがアリルアルコールに附加する反応機構を研究し、保管事が8.1210eV/gのminの時、見掛けの反応速度定数としてK=2.3710M・minを得た。そして、活性種1個当り0ラジカル反応の連鎖の速さは350であることを明らかにした。
堀口 直樹; 宮原 直哉; 三輪 周平; 逢坂 正彦
no journal, ,
BWR制御材ホウ素(B)を含む系での軽水炉シビアアクシデント(SA)時のヨウ素(I)及びセシウム(Cs)の冷却系移行において、CsやIの化学挙動を評価するために、化学反応速度論を適用した解析を行った。移行時の化学形について、化学平衡論との比較を行ったところ、B存在下における主要なCs化合物であるCsBOのモル分率は、低温部では両者で数桁異なる値となった。このことから、移行時におけるCsやIの化学挙動評価においては、化学反応速度論の考慮が必要であることがわかった。
端 邦樹; 佐藤 智徳; 加治 芳行; 井上 博之*; 田口 光正*; 清藤 一*; 多田 英司*; 阿部 博志*; 秋山 英二*; 鈴木 俊一*
no journal, ,
放射線場にある福島第一原子力発電所(1F)建屋内滞留水中の構造材料の腐食環境の予測には、当該環境でのラジオリシス現象の把握が重要である。本研究では、照射下腐食に関する既往研究のデータの調査を進めるとともに、滞留水中に存在しうる特定の化学種を含む水溶液のラジオリシスデータの取得を行っている。既往研究では、大気飽和と比べAr飽和及びN飽和条件で照射下の腐食速度が減少すること、またN飽和のほうがAr飽和より腐食速度が高くなること等が報告されている。現在1F炉内はNパージされているが、このような状態が長期間継続されることによる影響について適切に予測するため、N飽和下でのラジオリシス現象の解明が必要である。Feイオンを含む水溶液のラジオリシスでは、線照射実験を行い、HO等の生成物の濃度やpHの変化を測定した。照射に伴い水質が酸性に変化することや、HOやHの生成量がFeイオン添加により増加すること等を示した。今後、ラジオリシスシミュレーションとの比較を行い、Feイオンのラジオリシスにおける化学反応データセットを確立させることを目指す。
風間 裕行; 小無 健司*; 鈴木 達也*; 関尾 佳弘; 前田 宏治; 小山 真一; 阿部 千景*; 永井 康介*
no journal, ,
燃料デブリ中のアクチノイドを高精度かつ迅速に分析するために、誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP-MS/MS)の利用を検討している。本研究では、アクチノイド同重体の干渉除去に向けた基礎的知見を得るために、ICP-MS/MSのセル内で生じるアクチノイドイオンと反応ガスとの気相反応を調査し、その反応性に関するパラメータとして反応定数の評価を試みた。